小問1 解説
本問は、蒸気原動所の理論サイクル(ランキンサイクル)に関する知識と、P-v線図の解釈、蒸気表(飽和蒸気表、圧縮水及び過熱蒸気表)を用いた状態量の読み取り、および熱力学的計算能力を問う問題です。
1. 空欄補充問題の解説
図のP-v線図と各装置の機能を照らし合わせ、適切な語句を埋めていきます。
- 状態点1から装置Aへ: 状態点1はP=0.010 MPaの飽和水です。装置Aで圧力がP=7.000 MPaまで上昇しています。この過程はポンプによるもので、作動流体は「圧縮」されます。したがって、【1】はク. 圧縮です。
- 装置Aの出口、状態点2: 装置Aで圧縮された水は、その圧力が上昇しているため「圧縮水」となります。したがって、【2】はア. 圧縮水です。
- 状態点2から装置Bへ: 状態点2の作動流体には装置Bで熱が供給され、温度400℃、圧力7.000 MPaの状態点3に至ります。表2を見ると、P=7.000 MPa、T=400℃の状態は「過熱蒸気」です。したがって、【3】はイ. 過熱蒸気です。
- 状態点$2_a$と$2_b$の間: P-v線図において、飽和液線と飽和蒸気線の間の領域は、液相と気相が共存する「湿り蒸気」領域です。したがって、【4】はエ. 湿り蒸気です。
- 状態点3から装置Cへ: 状態点3の過熱蒸気は装置Cで圧力が0.010 MPaまで降下しています。これはタービンによる仕事を取り出すための「膨張」過程です。したがって、【5】はケ. 膨張です。
- 装置Dの過程: 状態点4から装置Dで熱を外部に放出し、状態点1に戻っています。P-v線図を見ると、このD-1間の過程は圧力が0.010 MPaで一定であり、「等圧」過程です。したがって、【6】はシ. 等圧です。
2. 数値計算問題の解説(【A】~【C】)
与えられた表1(飽和蒸気表)および表2(圧縮水及び過熱蒸気表)の数値と、熱力学の基本公式を用いて計算します。
【A】の計算:状態点4の乾き度 $x_4$ を10倍した値
ランキンサイクルにおいて、タービン(装置C)での膨張過程は、理論上は等エントロピー膨張と仮定されます。したがって、状態点3と状態点4の比エントロピーは等しい($s_3 = s_4$)とします。
適用すべき公式:
$s_4 = s_4' + x_4(s_4'' - s_4')$
ここで、$x_4$ は乾き度、$s_4'$ は状態4における飽和液の比エントロピー、$s_4''$ は状態4における乾き飽和蒸気の比エントロピーです。
計算過程:
- 状態点3の比エントロピー $s_3$ を特定します。
表2より、圧力 $P_3 = 7.000 \text{ MPa}$、温度 $T_3 = 400 \text{ ℃}$ のとき、
$s_3 = 6.4536 \text{ kJ/(kg·K)}$
- 状態点4の飽和液および乾き飽和蒸気の比エントロピーを特定します。
状態点4は圧力 $P_4 = 0.010 \text{ MPa}$ の湿り蒸気領域にあります。表1より、
飽和液の比エントロピー $s_4' = 0.6493 \text{ kJ/(kg·K)}$
乾き飽和蒸気の比エントロピー $s_4'' = 8.1511 \text{ kJ/(kg·K)}$
- 乾き度 $x_4$ を計算します。
$s_3 = s_4$ なので、上記の公式に値を代入します。
$6.4536 \text{ kJ/(kg·K)} = 0.6493 \text{ kJ/(kg·K)} + x_4(8.1511 \text{ kJ/(kg·K)} - 0.6493 \text{ kJ/(kg·K)})$
$6.4536 = 0.6493 + x_4 \times 7.5018$
$x_4 = (6.4536 - 0.6493) / 7.5018 = 5.8043 / 7.5018 \approx 0.773715$
- 【A】の値を計算し、指示に従って四捨五入します。
問題の形式【A a.bc】と与えられた正解値7.74から、【A】は乾き度 $x_4$ を10倍した値であると推測されます。
$10 \times x_4 = 10 \times 0.773715... = 7.73715...$
「解答は解答すべき数値の最小位の一つ下の位で四捨五入すること。」
【A a.bc】の最小位は小数点以下第2位 (c) です。したがって、小数点以下第3位の桁で四捨五入します。
$7.7\underline{3}715... \rightarrow 7.74$ (小数点以下第3位の「7」を四捨五入して切り上げ)
したがって、【A】に入る数値は 7.74 です。
【B】の計算:状態点4の比エンタルピー $h_4$
状態点4の比エンタルピー $h_4$ は、乾き度 $x_4$ を用いて計算します。
適用すべき公式:
$h_4 = h_4' + x_4(h_4'' - h_4')$
ここで、$h_4'$ は状態4における飽和液の比エンタルピー、$h_4''$ は状態4における乾き飽和蒸気の比エンタルピーです。
計算過程:
- 状態点4の飽和液および乾き飽和蒸気の比エンタルピーを特定します。
表1より、圧力 $P_4 = 0.010 \text{ MPa}$ のとき、
飽和液の比エンタルピー $h_4' = 191.8 \text{ kJ/kg}$
乾き飽和蒸気の比エンタルピー $h_4'' = 2584.8 \text{ kJ/kg}$
- 乾き度 $x_4$ を用いて $h_4$ を計算します。
先ほど【A】の計算で求めた $x_4 = 0.773715...$ を使用します。
$h_4 = 191.8 \text{ kJ/kg} + 0.773715 \times (2584.8 - 191.8) \text{ kJ/kg}$
$h_4 = 191.8 \text{ kJ/kg} + 0.773715 \times 2393.0 \text{ kJ/kg}$
$h_4 = 191.8 \text{ kJ/kg} + 1851.465 \text{ kJ/kg}$
$h_4 = 2043.265 \text{ kJ/kg}$
- 【B】の値を解答の指示に従って四捨五入します。
「解答は解答すべき数値の最小位の一つ下の位で四捨五入すること。」
【B】の正解は「2.04E+03」であり、これは整数値の2040を意味します。計算結果 $2043.265 \text{ kJ/kg}$ の最小位は1の位です。したがって、小数点以下第1位の桁で四捨五入します。
$2043.\underline{2}65 \text{ kJ/kg} \rightarrow 2043 \text{ kJ/kg}$ (小数点以下第1位の「2」を四捨五入して切り捨て)
上記の計算により、状態点4の比エンタルピー $h_4 = 2043 \text{ kJ/kg}$ が得られます。この値は、与えられた正解の 2.04E+03 (2040) とは僅かに異なります。この差異は、蒸気表の数値の丸め方や、問題で想定されている計算過程の特定の有効数字の取り方など、複数の要因が考えられます。
【C】の計算:理論熱効率 $\eta_{th}$ を10倍した値
この理論サイクルの熱効率 $\eta_{th}$ は、正味仕事量 $W_{net}$ をボイラへの熱供給量 $Q_B$ で割ることで求められます。
適用すべき公式:
$\eta_{th} = W_{net} / Q_B = (W_T - W_P) / Q_B$
ここで、$W_P$ はポンプ仕事量、$Q_B$ はボイラ熱供給量、$W_T$ はタービン仕事量です。
各仕事量・熱量は比エンタルピーの変化として計算されます。
$W_P = h_2 - h_1$
$Q_B = h_3 - h_2$
$W_T = h_3 - h_4$
計算過程:
- 各状態点の比エンタルピーを特定します。
$h_1 = 191.8 \text{ kJ/kg}$ (表1, P=0.010 MPaの飽和液)
$h_2 = 221.1 \text{ kJ/kg}$ (表2, P=7.000 MPa, T=51.4℃の圧縮水)
$h_3 = 3161.2 \text{ kJ/kg}$ (表2, P=7.000 MPa, T=400℃の過熱蒸気)
$h_4 = 2043.265 \text{ kJ/kg}$ (上記【B】の計算結果)
- ポンプ仕事量 $W_P$ を計算します。
$W_P = h_2 - h_1 = 221.1 \text{ kJ/kg} - 191.8 \text{ kJ/kg} = 29.3 \text{ kJ/kg}$
- ボイラ熱供給量 $Q_B$ を計算します。
$Q_B = h_3 - h_2 = 3161.2 \text{ kJ/kg} - 221.1 \text{ kJ/kg} = 2940.1 \text{ kJ/kg}$
- タービン仕事量 $W_T$ を計算します。
$W_T = h_3 - h_4 = 3161.2 \text{ kJ/kg} - 2043.265 \text{ kJ/kg} = 1117.935 \text{ kJ/kg}$
- 正味仕事量 $W_{net}$ を計算します。
$W_{net} = W_T - W_P = 1117.935 \text{ kJ/kg} - 29.3 \text{ kJ/kg} = 1088.635 \text{ kJ/kg}$
- 熱効率 $\eta_{th}$ を計算します。
$\eta_{th} = W_{net} / Q_B = 1088.635 \text{ kJ/kg} / 2940.1 \text{ kJ/kg} \approx 0.370278$
- 【C】の値を計算し、指示に従って四捨五入します。
問題の形式【C a.b】と与えられた正解値3.7から、【C】は熱効率 $\eta_{th}$ を10倍した値であると推測されます。
$10 \times \eta_{th} = 10 \times 0.370278... = 3.70278...$
「解答は解答すべき数値の最小位の一つ下の位で四捨五入すること。」
【C a.b】の最小位は小数点以下第1位 (b) です。したがって、小数点以下第2位の桁で四捨五入します。
$3.7\underline{0}278... \rightarrow 3.7$ (小数点以下第2位の「0」を四捨五入して切り捨て)
したがって、【C】に入る数値は 3.7 です。
※この解説はAIによって自動生成されています。正確な情報が必要な場合は、公式のテキストや問題集を併せてご確認ください。